おさん狐と勇吉じいさん(常総市)
むかし、古間木村(現在の常総市古間木)に、三匹のきょうだい狐がすんでおりました。
三匹の名前は、上から「ろっぽの六助」、「堀切藤造」、一番下の妹狐が「山王のおさん」といいました。
三匹の名前は、上から「ろっぽの六助」、「堀切藤造」、一番下の妹狐が「山王のおさん」といいました。
三匹はいつも仲良く、楽しく遊んでおりましたが、ある日、六助と藤造が猟師に鉄砲で撃たれて、あっけなく死んでしまったのです。
突然兄たちを亡くしたおさんは、悲しくて山の洞穴の中で毎日泣き暮らしておりました。
ときどき姿が見えたかと思うと、やはり一日中しょんぼりとしているのです。
近くに住む勇吉じいさんは、かわいそうなおさんを見かねて、「おさん、つらいのはよくわかるが、そんなに嘆いてばかりいちゃ病気になってしまうぞ。たまには気晴らしにわしの家に遊びにおいで。」とやさしいことばをかけ、元気づけてあげました。
おさんは、それから少しずつ元気を取りもどし、じいさんの所で仕事を手伝ったりするようになりました。
しばらくすると、じいさんの洗濯物にじゃれついてふざけるようなしぐさを見せるほど元気になり、じいさんもほっと胸をなでおろしたのです。
そんなおさんのために、勇吉じいさんは村人と相談し、赤い鳥居*1のあるお稲荷*2さんを建ててやりました。おさんは、それを見てとても喜びました。
勇吉じいさんが、「おさん。うれしい時は、コンコンと鳴くんだよ。」というと、その晩から毎日、おさんのコンコンという鳴き声が聞こえるようになりました。
ところが、あまりにもコンコン、コンコンと鳴くので、これには勇吉じいさんも音を上げ、「まいったなぁ。これじゃ、わしのほうがとても眠れないわい。」と泣きべそ*3をかいたということです。
参考資料- 「石下町の昔ばなし」(渡辺義雄著)