ふるさとの昔ばなしシリーズ 笠間市

雷棒(かみなりぼう)

 むかし、たいそういたずら好きの雷様*1がおりました。雷様は雲の上から人間の住む下界*2をながめるのが大好きでした。

ある日、雷様はいつものように雲に乗って散歩に出かけました。そのとき、うっかり持っていた太鼓をたたいて大きな音を出してしまいました。

すると、雲間からゴロゴロッと大きな音がしたため、地上の人間たちがあわてて一斉に走り出したのです。

雷様は地上で何が起きたのかわかりませんでしたが、人間たちが太鼓の音に驚いて逃げ惑っていると気づくと、今度は力いっぱい太鼓をたたき始めたのです。“ドンドンドン、ドドン、ゴロゴロゴロッ”

すると、人間たちが右へ左へと面白いように逃げまわるので、雷様は太鼓を打つのに夢中になり、雲から身を乗り出しすぎて地上に真っ逆さまに落ちてしまいました。

人間に気づかれてはいけない、すぐにも天に駆け上らなくてはとあわてた雷様は太鼓をたたく石のバチ*3を地上に置き忘れてしまったのです。

それからしばらくして、草むらで遊んでいた子どもがそこで不思議な石の棒を見つけました。石の棒は重すぎて自分ひとりでは動かせないので、親を呼びに行きました。

やがて話を聞きつけた村の人々も集まってきましたが、それが何の棒か見当もつきません。「そういえばこの前、この辺りに雷様が落ちたなぁ。これは雷様が太鼓をたたくバチではないだろうか。」という話に落ち着きました。

それ以来、この棒は「雷棒」と呼ばれ、普賢院(笠間市上郷)というお寺に納められたということです。現在は、水戸市緑町の茨城県立歴史館に常設展示されています。

ちなみに雷の太鼓バチといわれるその石は、縄文時代中期(約四千年前)の「石棒」で、旧岩間町の随光寺遺跡から出土したものといわれています。


 


 

 

*1 雷様
なるかみ・雷神。雲の上にいて、虎の皮のふんどしをして、太鼓を打ち、へそをとるという。
*2 下界
人間界。人間の住む地上。
*3 バチ
太鼓・銅鑼(どら)などを打ち鳴らす棒。


参考資料
「いわまの伝え話」(岩間町教育委員会)
「茨城の伝説」(今瀬文也・武田静澄共著)